「60代の男性がワクチン接種2回受けたにも関わらず、新型コロナに感染し死亡した、基礎疾患に癌があった」というニュースを見ました。
キーワードだけだと、癌の既往ある方はワクチン接種しても無意味、若しくはそもそもワクチン接種が無効のようにも読み取れてしまいます。
自分は感染症の専門ではありませんが、癌患者は毎日診ていますのでその立場から意見します。
癌の既往ではなく基礎疾患に癌というニュース内容から、癌の治療中であると推察します。手術のみであればやはり癌の治療後と表現するはずなので、抗がん剤治療中の可能性が高いと考えます。以下抗がん剤治療中のワクチン接種及び感染症の考察となります。
抗がん剤は骨髄抑制という副作用がほぼ起きます。癌細胞の無限増殖能をターゲットとする以上、細胞分裂の盛んな骨髄、皮膚、粘膜などに副作用が生じるのは御理解頂けるかと思います。骨髄がダメージを負えばそこで産生される様々な血液細胞は減りますから免疫が抑制されます。ワクチン接種は免疫を付けるのが目的です。ですから抗がん剤治療中であればワクチン接種を2回しても免疫が十分に出来なかった可能性があります。さらに免疫抑制状態ですからそもそも感染症に罹りやすいです。この2重の理由で抗がん剤治療中ではワクチン接種2回後でも新型コロナに感染しやすい状態だったと推察します。
ワクチン接種が無効というニュースではないこと、ミスリードされないことをお願いしたいです。