タバコと癌

喫煙者からの意見で多いのが、「タバコ吸わなくても肺癌になった人がいる」「爺ちゃんは90歳でもタバコ吸って元気にしていた」「喫煙率下がったのに癌は増えている、だからタバコと癌は関係ない」

この25年程の間に喫煙率は男性60%が30%に、女性15%が10%に、確かに減少しています。一方で肺癌は増えています。しかし極論を言えば、タバコ吸った翌日に肺癌になるわけではありません。むしろ喫煙から20年や40年経過して肺癌になることが多いですから、過去の喫煙率が高かったために現在の肺癌が増えていることになります。

またタバコは肺癌以外の癌にも関与します。ダイレクトに曝露する舌癌、咽頭癌、喉頭癌もリスクが上がり、血液に溶け込んだ発癌物質のために、副鼻腔癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、膀胱癌、子宮頸癌などもリスクが上がることが証明されています。

基本的にビタミン剤やサプリメントは身体に良いとされ、多少多く摂っても問題なく、またほとんど副作用も考えなくて良いことから利用者も多いかと思います。

緑黄色野菜に多く含まれるベータカロチンを聞いたことがあるかと思います。癌になりにくくするとも考えられています。しかし、興味深い研究によってこの考えに大きな問題を起こさせました。

Beta Carotene CancerPrevention Study Group, The effect of vitamin E and beta carotene on theincidence of lung cancer and other cancers in male smokers, N Engl J Med. 1994

簡単に述べると、3万人ほどの喫煙者にベータカロチンのサプリメントを摂取する群と摂取しない群にわけて5年以上経過を見たところ、サプリメント摂取群が18%多く肺癌になりました。

本来健康に良いはずのものが、タバコを吸う方にはむしろ有害に働いてしまったのです。

そして、その10年ほど経過して出た報告が、

Beta-Carotene Supplements Confirmed as Harmful to Those at Risk for Lung Cancer (2009)

サプリメント摂取を辞めて6年後でも、やはり喫煙者の場合には肺癌が多くなっていることが証明されました。

さて皆さん、それでもタバコを吸いますか?

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