癌の種類とPET検査(その1)

癌、悪性腫瘍と言っても様々な臓器、様々な組織、癌腫があるので、思い付く限り経験に基づいて記載してみます。

1.脳腫瘍…FDG-PET検査が苦手とする代表です。脳は唯一のエネルギー源であるブドウ糖を消費していますから、類似物質のFDGが生理的に最も代謝、集積することになります。正常な脳に高集積なのだから悪性腫瘍があっても区別出来ません。ですから脳腫瘍の精査、脳転移の有無の確認にはFDG-PET検査は不向きです。薬剤を変えてメチオニンPETなどは有用ですが、ほとんど実施出来る施設はありません。造影MRI検査をオススメします。

2.頭頸部癌(舌癌、咽頭癌、喉頭癌、上顎癌など)…舌や扁桃や声門などは元々生理的集積のために原発巣の評価は困難ですが、これらはいずれも扁平上皮癌という組織型が多く細胞が密なためにFDGが非常に集まりやすいです。ですからリンパ節転移、遠隔転移への集積が明瞭で有用です。再発の確認にも優れています。

3.甲状腺癌…甲状腺癌は悪性でもFDG低集積の場合もあり、良性の甲状腺腫瘍で高集積の場合もあるので、甲状腺腫瘍の良悪性の鑑別には不向きです。転移についても原発巣が低集積なら検出出来ないことが多いです。しかし生検で甲状腺癌の診断もあり、高集積であれば、転移の検出も容易です。また治療前に高集積であれば再発の確認にも優れています。

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