癌の種類とPET検査(その2)

4.縦隔腫瘍…部位によって種類や頻度も変わりますが、前縦隔であれば胸腺癌、浸潤性胸腺腫などがPETで良く見れますし、転移の評価も出来ます。ただし良性な非浸潤性胸腺腫かの鑑別はPETの集積強度のみでは難しいです。一応ある程度は集積強度から傾向は言えますがオーバーラップが多いです。大学にいた頃に呼吸器外科の先生と共著した論文で縦隔腫瘍のFDG集積に関して研究していますが、正直微妙な結果でした。

5.肺癌…PET検査で最も依頼の多い代表とも言える癌です。CTで見付かった癌もしくは悩ましい腫瘤の際にほぼ必須なくらいにPET検査が依頼されます。目的は癌か悩ましい際にはFDG集積で悪性か見極めたいということだと思うのですが、悩ましい時は悪性度が低いことが多く糖代謝も低いのでPETでも悩むことが多いです。さらにCTで淡い所見であれば細胞密度も少ないために集積も小さくなります(部分容積効果)。またこの場合には転移を起こしていることも経験上少ないです。一方で有用なのはある程度の大きさ1センチ以上かつ充実性な場合や生検で扁平上皮癌か小細胞癌とわかっている場合です。大きいのにFDG低集積なら肺癌の可能性は引く、炎症性変化やカルチノイドなど低悪性度の腫瘍と言えます。扁平上皮癌や小細胞癌はかなりFDG集積が高いのではっきり見えますし転移の指摘も容易です。大学にいた頃に小細胞癌、扁平上皮癌、腺癌について肺癌の組織とFDG集積の研究(200例以上)をしましたが、綺麗な分布が得られました。

6.胸膜中皮腫…それほど多い悪性腫瘍ではありませんが、アスベストと関連しますのでリスク高い方にはしばしば見付かります。集積強度も高いことがありますのでPET検査に向いていますが、胸膜炎や胸膜播種との区別は出来ません。

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